研究内容の紹介


惑星形成の標準理論

我々の太陽系や太陽系外における惑星は, 図1のような段階を経て形成されたと考えられている.まず, 中心星のまわりにつくられたガス円盤 (原始惑星系円盤) の中でダスト微粒子が集まりkmサイズの無数の (微惑星) が形成される.この微惑星は互いに重力で引き合い, 衝突・合体を繰り返し成長していく.千kmサイズになった天体 (原始惑星) はさらに巨大衝突を起こし,最終的に地球や金星のような主に岩石でできた惑星 (地球型惑星) が完成する.一方,遠方に位置する惑星はより多くの微惑星を集め巨大になる. すると,その強力な重力により原始惑星系円盤のガスをも引き付けてまとうようになる. このようにしてつくられたのが,大量の水素ガスを持つ木星,土星などの外惑星 (木星型惑星) である.このようなシナリオのもと, 小惑星やカイパーベルト天体などの小天体の起源も解明されようとしている. (もっと詳しく知りたい方はこちら.)


図1:惑星形成のシナリオ.


原始惑星系円盤とダストの共進化

惑星は 原始惑星系円盤 と呼ばれる若い星のまわりのガス円盤の中で ダスト微粒子 を原材料として形成されたと考えられている.惑星形成過程では, スタート地点であるこの原始惑星系円盤がどのようなものであるかが重要なファクターである. 現在,天文観測により原始惑星系円盤は詳細に調べられつつあり 惑星形成の現場の様子が明らかにされようとしている.原始惑星系円盤の天文観測では, 主にダスト微粒子からの熱輻射を観測し情報を得ている.また, ダスト微粒子からの熱輻射は原始惑星系円盤の温度や力学構造も支配している. このようにダスト微粒子は, 惑星形成や原始惑星系円盤の進化において重要な役割を担っている.我々は, 観測データから原始惑星系円盤やそこに含まれるダスト粒子の情報を引き出すために必要なダスト進化の標準モデルの構築を進めている (図2参照).


図2:ダスト成長による円盤輻射強度の進化. ダストの進化で円盤観測結果は大幅に変わる.


宇宙ダストの合体成長と微惑星形成

星間ガスに含まれるダスト微粒子のサイズはミクロン以下である. 原始惑星系円盤 の形成後,円盤の中で ダスト微粒子は衝突・合体を繰り返し徐々に成長していく. その際低速で合体するため, ダストは図3のような空隙の多い構造をもつと考えられている. このようなダストの力学構造の解明は, ダスト表面積や付着しやすさを知る上で不可欠であり, 微惑星形成や円盤輻射輸送など多くの物理過程において重要だが,その不定性は大きい. 我々はダスト合体成長の数値シミュレーションをおこない, 宇宙ダストの力学構造の解明を目指している.

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図3:氷ダスト合体成長の数値計算. 宇宙ダストは成長とともに高い空隙率をもつ内部構造へと進化する.















惑星円盤相互作用と惑星落下問題

惑星形成論において,現在「 惑星とガス円盤との相互作用 」が注目されている. 原始惑星系円盤の中で周回する惑星は,その重力により図3のような 密度波 をたてる.このような波を励起することで, 惑星は抵抗力を受け, 中心星へ徐々に落下していくことが明らかになってきた. この落下速度は比較的速く, 惑星形成が十分進む前に大部分の惑星は中心星へ落下してしまうと見積もられている. 現在,この惑星落下は惑星形成論における重大問題のひとつとなっている.

我々のグループでは, 惑星落下問題 の解決に向け, 数値流体計算や解析計算を駆使して惑星円盤相互作用の再検討を行っている.また, この惑星円盤相互作用による円盤ギャップ形成の研究も並行して進めている.

図4:惑星はガス円盤に密度波をたてて落下してしまう.


分子動力学計算による微粒子生成や粒子相互作用の解明

宇宙ダストの起源や付着合体を考える上で, 物質の凝縮や表面相互作用の物理を知ることも不可欠である.しかし, ナノサイエンスの最先端においても表面現象に関してはまだ分からないことが多いのが現状である. 我々のグループでは,大型計算機を用い 1億分子程度の大規模分子動力学計算を行うことで, 過冷却ガスからの核生成過(粒子生成)とその結晶化, 微粒子間の付着力と摩擦など現象を解明するを目指している.

図5:分子動力学計算による微粒子間の付着力の解明. (計算結果の国立天文台武田氏による可視化)


その他の研究テーマ


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